Livox社のLiDAR「mid-70」を動かすためのメモ(ハードウェア編①:ケーブル/ハーネス)

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Livox社のLiDAR「mid-70」とは?

Livox社は、ドローンで有名なDJI社の関連会社で、ドローンや自動車等に搭載されるようなLiDARを扱っている。本記事等で扱う「mid-70」は、その中でも2番目に安価(2023年11月現在)なLiDARである。

mid-70の主要なスペックは、Livox社のHPに記載の通りであるが、主要な部分を抜粋して以下に示す。個人的に、10万円しない程度の価格で、この計測距離・FOV(視野角)・計測点数の仕様(下表の黄色で示した部分)であるデバイスが買えるというのが驚きである。

Detection Range90 m @ 10% reflectivity
130 m @ 20% reflectivity
260 m @ 80% reflectivity
FOV70.4° (Circular)
Range Precision1σ ( @ 20m) ≤ 2 cm
1σ ( @ 0.2~1m) ≤ 3 cm
Angular Precision(1σ )< 0.1º
Point Rate100,000 points/s (first or strongest return)
200,000 points/s (dual return)
Livox社mid-70の主要な仕様

本記事の概要

Livox社のLiDAR「mid-70」を買ってみたはいいものの、いざ使ってみようと考えてハードウェア面に関する日本語のブログ記事等の情報を探してみても、日本語の情報が少ない(ほぼない)と感じた(このようなデバイスを個人の趣味で買う人はそもそもほとんどいないし、またあえて購入するような人は相当の知識を備えており、日本語のブログの情報を参考にするレベルの人はほとんどいないだろう)。

そこで本記事では、Livox社のLiDAR「mid-70」を使いこなすにあたり、自分なりに公式のドキュメントを見つつ、ハードウェア面について調べたこと・試したことについて紹介する。

LiDAR「mid-70」とPC・電源との接続について

本記事では、mid-70とPC・電源との接続についてまとめる。なお、本記事ではSyncポート関連については未検証のため特に触れない。本記事の情報は主にMid-70 User Manualを参考に、一部調査した内容をもとに記載している。また本記事に記載の図やその一部は、Mid-70 User Manualの図を引用している。

mid-70の付属品を用いる場合

mid-70の付属品を用いた場合の例を下図に示す。mid-70からはM12 Aviation Connectorというコネクタが出ており、PCや電源などとは直接的に接続できない。そこで、付属品のConversion Cableを介してLivox Converter 2.0に接続することで、一般的なLANケーブル(RJ-45)を介してPCと接続することができるようになる。また、電源については付属のPower Cableを適当なDC電源に接続することで、給電することができる。

mid-70の付属品を用いた接続例(一部、「Mid-70 User Manual」の画像を使用)

筆者の場合、電源についてはその辺に転がっていた、今は使っていないノートPCのACアダプタを使用することとした。ノートPCのACアダプタの先端はDCプラグになっており、付属品のPower Cableはこれと接続できるよう、DCジャックを取り付けた。

なお、mid-70への給電に当たっては、以下の点に注意が必要である。

  • Livox Converter 2.0からPower Cableを介して給電する場合、DC10V~30Vの電源と接続する
    →Livox Converter 2.0を介さない場合、電源はDC10V~15Vであることに注意
  • DCプラグ・ジャックを使用する場合、コネクタのサイズや極性に注意する
    →コネクタサイズが間違っていても、刺さらないだけで大事には至らないだろうが、極性が間違っていると最悪機械が壊れる可能性がある。ACアダプタなどの場合、「センタープラス」かどうかがアイコンにより示されているし、テスターで簡単に調べることができるため、必ず確認すること。

ちなみにリンク先にあるように、Livox Converter 2.0に接続可能なACアダプタも販売されている(が、6000円程度する)。

専用のケーブルを購入する場合

Livox 3線式航空コネクターを購入し、使用する。9000円程度と高いが、mid-70に付属のケーブル類(太い・硬い・やけに長い)を使用するよりはコンパクトでよいと思う。筆者は高いから買わなかったが、自作するよりも確実かつ入手が容易なため、買ってもよかったかもしれない。

なお、電源のピンについてはコネクタ等は取り付けられずむき出しの電線のままなので、上述の通りDC10V~15Vの電源と接続できるように何らかの加工をする必要があると思われる。

ケーブルを自作する場合

ようやく本記事の主題に入る。mid-70の付属品を使用する場合、特にConversion Cableが太く・硬く・長いため、システム全体が嵩張り気に入らなかったため、ケーブルを自作することでコンパクトなシステムを作成することとした。

自作したケーブルなど
自作したケーブルを用いたシステム全体像

自作のケーブルは、Livox側はM12コネクタ(Aコード・12ピン)のメスによりLivoxのコネクタ(オス)と接続する。自作のケーブルはLivoxのLiDAR以外には、PCのLANポート、および電源に接続する。

PCと接続する際は、市販のLANケーブル(オス-オス)を介して接続することとし、自作ケーブルにはLANケーブルのコネクタ(RJ-45)と接続可能なRJ-45のメスコネクタを取り付けることとした。
なお、メスのコネクタをつけることにしたのは、なんとなくオスコネクタをつけると、使っているうちに断線しそうな気がしたため。あとオスのコネクタを作るにはカシメ工具が必要。
➡RJ-45用のカシメ工具は、(LANケーブルが非常に多数使われているおかげか)やけに安いので購入してもよいかと思ったが、どうせ1個しか作らないので、Panasonicの「ぐっとすシリーズ パッチパネル用モジュール(CAT5E)」の「NR3061」という製品(700円)を使用して作成することとした。本製品を使うことで、カシメ工具なしで(付属のキャップで押し込むことにより)コネクタの取り付けが可能である。

ぐっとすシリーズ パッチパネル用モジュール(CAT5E)の使い方。商品仕様書より引用。

電源は先述の通り、室内で動作確認時はACアダプタから給電し、屋外等で実際に計測する際はマキタのバッテリーから給電したいと考えた。そこでコネクタはDCプラグを取り付けることとした。

自作ケーブルの各コネクタのピン配置と接続方法は以下の図の通りである。なお、LivoxのLiDARと接続するコネクタは先に述べた通り「M12コネクタのA-codeの12ピン」である。

※:M12コネクタには12ピン以外のピン数のものや、12ピンでもピンの配置が異なるものがあるため、ピン数(12)とピンの配置(A-code)に注意が必要である。
※:M12コネクタを一般人が入手する方法はかなり限られており、結構高い。筆者が調べた範囲では、モノタロウで売られていたケーブル付きのコネクタ1200円程度で最も安価であった。
➡コネクタ単品で2千円したりもするので、ケーブルをはんだ付け等する手間がかからないという意味でもオススメである。

RJ-45(メス)とM12コネクタの接続方法
電源コネクタとM12コネクタの接続方法

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